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死産への励ましの言葉は傷ついた心には負担になることも。体験談をまとめます。

お付き合い

妊娠報告を受けた友達から出産報告がないなとメールをしてみたら、『実は死産していて連絡できなかった、しばらくそっとしておいてほしい』という返信があった…。
どう声をかけたらいいかとお悩みの方もいると思います。

お盆が近づくと、亡き人のことを思い出すことが増えます。
わたしには死産経験があるのですが、お盆やお彼岸などが近づくとその頃の周囲の反応で傷ついたことを思い出すことがあります。

今回は、死産してから言われ傷ついた言葉について、周囲の流産・死産・誕生死等の経験があるママとの交流やわたし自身の経験からまとめます。

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死産への励ましの言葉は不要

友達が死産したと聞き、彼女は大丈夫だろうか、何か力になれることはないだろうか…と慮っても、どんな言葉をかけたらいいのかわからないという気持ち、心からお察しします。
わたし自身、友達からメールなどをもらっても、心配してくれる気持ちから悪気なく出た言葉なんだろうな…と思いながらも、悲しみの中ではそこまで友達を思いやれる状態にはありませんでした。

ですが、死産した後に励ましの言葉は必要ないのです。
少なくとも、死産した直後においては、励ましは負担にしかなりません。

死産したあとに何とか力になれないかと思うのは友達を思いやる気持ちからのものですが、励ましの言葉は必ずしもそうではありません。
何をいまさらと言われそうですが、励ますという言葉をgoo辞典で調べてみます。

はげま・す【励ます】の意味
1 気持ちが奮いたつようにしてやる。元気づける。力づける。激励する。「病床の友を―・す」
2 声などを激しくする。強くする。「言葉を―・して説得する」
引用元:goo 辞書

goo 辞書

死産という耐え難い経験をした直後においては、どんな言葉をもってしても励ますということは難しいです。
励ましが効果を持つのは『戦っているとき』であって、悲しみに暮れているときではないからです。

わたしの場合は流産・死産・誕生死等を経験したいわゆる『天使ママ』との交流を経て、何とか前を向いて生きて行こうと思えるようになりました。
友達との関係性やそれぞれの価値観はありますが、実際に天使ママ仲間から聞いたりわたしが実際に言われたりして辛かった言葉を系統ごとにピックアップしていきますね。

死産して傷ついた言葉

1.『わたしも失恋したとき死にたいくらい辛かったから気持ちわかるよ』『わたしもおばあちゃんが亡くなって辛かったよ…』
⇒自分が辛い体験をしたときのことを引き合いに出して共感しようとする

辛い気持ちに寄り添おう、寄り添いたい…という気持ちから、自分の辛かったときの経験をかぶせてくる方がいます。
『わたしも辛かった時期があるけど乗り越えられたから大丈夫』ということを言いたいのだと思います。

でも、死産で子どもを亡くすという経験は、実際経験しないとわからない悲しみの種類なんですよね…。

失恋して辛かった→辛くてもその人は生きている
おばあちゃんが亡くなった→天寿を全うされた
という救いもあり、同じ経験をしている方もいて共感を得やすい

ですが、死産経験があってもそれを公にしている方も少ないし、その言葉以上の辛い経験が隠れています。
わたしの場合は、胎内で赤ちゃんが亡くなっていると聞いてから、産む苦しみは同じなのに産声のないお産に臨むこととなりました。
やっと姿を見ることができた赤ちゃんを火葬しなければならず、戸籍にも残してあげられない。
後陣痛も悪露も続き母乳も出て体は『お母さん』なのに、そばにいるはずの赤ちゃんはいない…。

10年近く経ちますが、死産したことは、他のどんな経験とも置き換えることはできません。

相手の気持ちに寄り添いたいという気持ちはすばらしいことですが、『流産・死産・誕生死』にかかわらず、同じ経験をしていないと理解できないことってあります。
『自分にはその苦しみは分からないかもしれないけれど、あなたの力になりたいんだよ』という気持ちで寄り添う姿勢が、一番の救いになると思います。

2.『いつまでも泣いていると赤ちゃんも悲しむよ』
⇒赤ちゃんの気持ちを勝手に代弁する

亡くなった赤ちゃんをこの世で一番想っているのは、その子のお母さんです。
妊娠中に不思議な一体感を感じていたお母さんでさえ、どんなに望んでも赤ちゃんの気持ちを知ることはできません。

『いつまでも泣いていると赤ちゃんも悲しむよ』という言葉が辛い理由は2つ。
どんなに望んでもわからない赤ちゃんの気持ちを勝手に代弁しているように感じることと、いつまでも泣いていないで早く立ち直ってほしいという発言者の望みが透けて見えることです。
早く立ち直ってほしいというのは発言者の気持ちで、友達に寄り添う言葉ではありませんよね。

ただ、妊娠経過中にも親しくやり取りをしていて『赤ちゃんはあなたのもとに来てくれて幸せだったと思うよ』と言われたら救いに思う方もいるかもしれません。
赤ちゃんの気持ちを代弁されたくないという気持ちはあっても、それを発する人の気持ちが悲しみに寄り添うものだったら辛くないという方もいます。

これは相手の方との関係性やその方の価値観もあるので難しいところですが、個人的には赤ちゃんの気持ちを代弁するような言い方はできれば避けた方がいいと思います。

3.『亡くなった子のことは忘れて次いきましょう』
⇒亡くなった子をなかったことにする

これは当時泣き暮らしていたわたしが実際に言われた言葉なんですが、あっけに取られてしまいましたね。
こういう発言は、死産を『妊娠・出産に失敗した』ととらえているから出る言葉です。
赤ちゃんの命を悼むこともなく、2.と同様に落ち込んでいるわたしに早く元気になってほしいという気持ちを押し付けている言葉です。

少し話はそれますが、天使ママ仲間のAさんは、死産後に友達に会ったときに『Aとしたことが!』と軽いノリで言われて、帰宅して号泣したと言っていました。
明るく前向きな彼女に対して軽いノリで励ましたつもりなのかもしれませんが、そばで聞いているだけでわたしも号泣してしまいました…。

わたしが出会った天使ママさんたちはみな、妊娠経過が順調で、妊娠中の体調管理もしっかりしていた方ばかりでした。
流産・死産・誕生死は、不摂生したり健康状態が悪い妊婦さんにだけ起こるというものではないということも、あわせてお伝えしておきたいことです。

4.『神様は乗り越えられない試練を与えないっていうから、きっと乗り越えられるよ!』
⇒死産を勝手に『試練』に置き換える

こういうときの『試練』って『人生を生きるための試練』ということなわけですが。

死産という形で子どもを亡くしたかたは、ただ子供を亡くして悲しんでいるだけです。
亡くした子供の命を悼む気持ちに寄り添ってほしい、そう思っている方にとって、『亡くした子供=試練』という言葉がけは虚しく響くだけです。
そもそも、ひとが生きるための試練にひと一人の命を費やすっておかしいですよね。
どれだけ亡くした子の命を軽視しているんだろう…という気持ちになります。

ちなみに、天使ママ仲間のなかには、自分の経験を試練だという人もいますが、それは『自分がそう認識できるまで悲しみを昇華した』ということ。
子供を亡くしてすぐそこまでの境地に達することはとても難しいということを理解してほしいと思います。

5.『〇〇ちゃんは強いね』『わたしなら耐えられない』
⇒死産した人を超人扱いする

これは、悲しい経験をした友達をほめている? つもりで、自分から切り離している言葉です。
死産直後ではないですが、実際に言われた言葉でもあります。

わたしの場合は妊娠中に赤ちゃんの異常がわかっており、産まれてからはNICUに…という話が妊娠中に既に出ていました。
その段階で『林檎はすごいね、わたしなら耐えられない』と言われたことがあります。
置かれた状況でベストを尽くそうと気を張って頑張っているだけで当時も不安で一杯だったんですけどね。

友達が経験したことのない悲しみと苦しみの中にいるのだという認識があってもなお、放っておけない、何かできることはないかという気持ちから声をかけたいわけですよね。
死産をしたばかりなら、友達はそうしたあなたの気持ちをありがたく思う余裕すらない状態かもしれません。
『わたしには無理』と切り離してより傷つけるくらいなら、無理に連絡をしようとしないで友達の連絡を待つ方がいいと思います。

6.『元気そうでよかった』『思ったより落ち着いててホッとした』
⇒悲しみを隠して普段通りに振る舞っていることを慮らない

用事があって死産した友達と会ったら思いのほか元気そうだった…というときにポロっと出てしまう言葉ですね。

引きこもり状態になって不要不急の用事以外には外に出たくない…という精神状態に陥っていても、普通はひとと会うときに『わたし辛いです』という顔で外出しないですよね。
気を遣わせないように、心配をかけないように振る舞うだけで精一杯という状態であることがとても多いです。
そういう表面上元気に振る舞っている様子を見て安心したと言われると、『ああ、やっぱり落ち込んでちゃいけないってことよね』と気持ちが落ち込んでしまうこともあります。

本当に友達が心配なら、元気そうに見えたとしても『落ち着いて見えるけど体は大丈夫?』という思いやりのある声かけができるといいと思いますよ。

7.『もう1年経ったし、気持ち落ち着いたよね』『また働き始めたって聞いたよ。少し元気になったみたいだね』
⇒時間経過や日常生活を見て立ち直ったと判断する

1年経ったから、妊娠に伴い休職していた場合などで職場復帰したからなど、時間の経過や日常生活がそれまでと同じようにできるようになったから大丈夫では、という判断をしたくなる場合もあるのはわかります。

でも、悲しみとの向き合い方は人それぞれです。
時間薬という言葉がありますし、時間が悲しみを癒やすこともありますが、時間が経ったからと言って立ち直れるというものでもないのです。
実際、わたしも妊娠中に退職勧告され仕事を辞めていたのですが、半年ほどして家にいると思いだして辛いからと働くことにしました。
頑張ろうと決めて働き始めたのに、仕事中にふいに涙が出てきたりして、とても辛かったですね。

こちらも6.と同様に、一方的に立ち直ったと決めつけないで、気にかけてるよ、という気持ちで声をかけられるといいと思います。
『職場復帰したみたいで頑張ってるね』という形で友達の頑張りを認めるのはいいことだと思いますが『もう大丈夫だね』とか言われると、大丈夫って何? という気持ちになりますから。

8.『まだ若いんだから次の子は大丈夫!』
⇒次の妊娠に触れる言葉
『妊娠・出産に失敗した』という認識だから『次は大丈夫だよ!』と慰めの言葉のつもりでこう声をかけてしまうのでしょうが、それは違います。

女性は妊娠を知り子供を産もうと思ったときから『母』となり、我が子がいる人生を心に描きます。
実際に妊娠することで体調の変化もありますし、おなかの子との生活は生まれる前に始まっているんです。
死産は『妊娠・出産に失敗した』のではなく『我が子を喪った』『思い描いていた我が子がいる生活をなくした』ということ。
子供を亡くしたばかりで次の子の話なんてしないでほしい、今は喪ったこの子を悼む気持ちでいっぱいなのに…と、無理解がより悲しみを深くします。

また、流産・死産・誕生死といった経験をした方は、あんなに辛い思いをするなら…と次の妊娠をすぐに望めないという方も多いです。
もちろん、それ以降に妊娠できたとしても、無事にお産を終え赤ちゃんに異常がないとわかるまで不安な日々を過ごすことになります。
そうした不安の強い時期についても、『次の子は大丈夫!』なんて言い切るのではなく、不安に寄り添って接してほしいと思います。

9.『また元気な体で戻ってきてくれるよ!』
⇒次の妊娠で亡くなった子が戻ってきてくれるという考え方を押し付ける

8.と同様、次の子を考える状況ではない、というだけでなく、次に生まれる子供は亡くした子と同じ子ではないと考える方も、実は多いです。
もちろん、初期流産した方など、『またわたし達夫婦のところに帰ってきてほしい』と思う方もいますが、わたし自身も死産した後に生まれた子ども達が死産した子供の生まれ変わりだとは思っていないです。
今する話じゃないよね、というだけでなく、わかったようなことを言わないで、と思われる可能性もあります。

10.『妊娠できただけでもすごいことだよ』『亡くなったとしても妊娠できてうらやましい』
⇒妊娠できたこと自体が奇跡だとして論点をすり替えてしまう(悲しみに寄り添う姿勢がない)

不妊に悩む方や治療をしている方からすれば妊娠できただけでも奇跡だということはわかるんです。
実際に不妊治療していた友達に『林檎は亡くなったとしても赤ちゃんを授かれたんだからうらやましいよ』と言われたこともあります。

不妊に悩む彼女の苦しみはそれこそ『自分では経験していないからどんなに思いを馳せても理解しきれない』と思ってはいたんですが、うらやましいと言われてやはり胸が痛みましたね。
彼女の苦しみはそれだけ深いのか…と思い、何とかやり過ごしましたが。

ちなみにその後、わたしが次の子を無事に出産したあと、彼女の方から距離を置かれるようになりました。
女同士の友情って維持するのが難しいな…とつくづく思います。

11.『亡くなった子は縁がなかったんだよ』『○○家の長男はそういう運命なのかしらね』
⇒運命や血族のせいにする言葉

亡くなる子はそういう運命だったから仕方ないと言われても、納得できないですよね。

また、実は主人の家系では、第一子である長男の死産や誕生死で主人の伯父と主人の従弟にあたる方が亡くなっています。
主人の叔母(誕生死した主人の従弟のお母さん)がわたしに『○○家の長男はそういう運命なのかしらね』とぽつりとこぼされたんですね。
近い経験をしている方であっても、その言葉は死産直後のわたしには受け入れがたかったです。

叔母が誕生死で主人の従弟を亡くしたのはわたしの死産の10年以上前のことなので、その間に叔母はそういう風に自分を慰めるしかなかったのかもしれません。
今そう思えるようになったのも、わたしが第一子を死産してもうすぐ10年近く経つからかもしれませんね。

まとめ

流産・死産・誕生死は、想像を絶する悲しみです。
そうした経験をしたお友達に寄り添いたい、という気持ちはとても尊いものですが、死産後の精神状態は深く傷ついていて通常の状態ではありません。
かける言葉を間違えてしまうと、友情に亀裂が入り、お付き合いが途絶えてしまうこともあります。

振り返ってみると、死産直後に言われて傷ついた言葉のなかにも、今なら励ましの気持ちから出たことだろうと理解できる言葉もいくつかあります
でも、死産後で悲しみや怒り、苦しみや空虚さ…様々な感情がないまぜになっている状態では、相手の思いやりまで慮る余裕はとてもじゃないですがありませんでした。

言葉にできない悲しみの中を生きている方を励まそうとするよりも、まずは相手の気持ちを慮り、気持ちを汲むことを大切にしてほしいです。
相手が友達と会うのが辛いと言っているときに無理に励まそうとしたりせず、『からだを大切にしてね』『できることがあったら何でも言ってね』というように、相手に寄り添う気持ちを第一に考えてほしいと思います。

なお、お友達や大事な方が死産したときによかれと思って納骨や供養について口出してしまう方もいるかもしれませんが、かなりデリケートな問題でもあります。
供養の時期も形もそれぞれなので、相手の方が口にするまではこちらから話題にすることは避けましょう。

我が家の場合はすぐにこじんまりしたお仏壇を準備したのですが、その後もっと可愛らしい設えのものがあることを知りましたので、こちらの記事で紹介しています。

この記事が少しでも参考になれば幸いです。
お読みいただきましてありがとうございました。

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