
発達障害の検査には様々な種類があります。
発達障害グレーゾーンのうちの上の子は田中ビネー知能検査V、WPPSIとWISC-IVと3種類の知能検査を受けたことがあります。
今回は、発達障害の検査方法で未就学の子供に用いられる検査の種類や検査にどれくらい時間がかかるかなど、実際に我が子が受けたことがある田中ビネー知能検査V、WPPSIとWISC-IVについて、それぞれの検査内容の感想なども交えながらまとめます。
発達障害の検査方法で子供に用いられるもの
発達障害の検査方法で子供に用いられるものは、発達検査と知能検査があります。
発達検査には新版K式発達検査や乳幼児精神発達診断法がよく用いられているそうです。
うちの子の場合は発達検査ではなく、知能検査の結果と小児科での問診を経てグレーゾーンという診断が下りました。
実際に受けたことがある知能検査は
・田中ビネー知能検査V
・WPPSI(ウィプシ)
・WISC-IV(ウィスク・フォー)
の3種類です。
田中ビネー知能検査Vは3歳で障害児通所施設(隔月での療育)に入所するときに1回、WPPSIは5歳のときと6歳のときの2回。
WISC-IVは小学生になってから『グレーゾーンと言われても、親としては子供が何に困っているのかわからない』ということで、区の施設でカウンセリングを受けた後にテストを受けさせていただきました。
知能検査の違いって何?
田中ビネー知能検査、WPPSI、WISCは発達障害の疑いがある子供への知能検査に使われています。
田中ビネー知能検査は教育心理学者の田中寛一によって考案されたもので、現在は田中ビネー知能検査V版が販売されています。
WPPSI、WISCはいずれもウェクスラー式の知能検査です。
知能検査には対象年齢がある
WPPSIは2歳6ヶ月~7歳3ヶ月(3歳11ヶ月までと4歳以降で若干検査内容が変わります)、WISCは5歳0ヶ月~16歳11ヶ月の子供を対象とした検査です。
田中ビネー知能検査Vでは対象年齢が2歳から大人までと幅広い年齢で行うことができます。
知能検査には対象年齢があり、年齢に合った検査を実施する必要があるということですね。
WPPSIは2017年12月に日本版WPPSIⅢ(ウィプシ・スリー)が発売になりました。
WISCも現在は2010年に発売された日本版WISC-IVを用いられることが多いと思いますが、英国ではWISC-Vも発売されており、日本版が開発されている途中だそうですよ。
WPPSIⅢとWISCどちらも用いることができる年齢である5歳から7歳3ヶ月までの子供については、WPPSIのホームぺージに以下の記載がありました。
5歳0カ月~7歳3カ月の子どもには、その子どもの認知能力や背景情報に応じてWPPSI-IIIかWISC-IVを選択することができます。認知能力が平均を下回る疑いのある子ども、日本語の習熟が十分でない子ども、言語障害のある子ども、言葉の表出に困難のある子どもなどには、適切な臨床的判断のもとWPPSI-IIIを実施することが推奨されています。
うちの子がWPPSIを受けたのは区の未就学児までの障害児通所施設なので、一律でWPPSIを用いていたのかもしれません。
IQは相対評価で出す方法と生活年齢と精神年齢との比較で出す方法がある
ウェクスラー式の知能検査の結果(IQ)は相対評価で、同年齢の集団と比較して出されています。
平均を100として、検査を受けた児童が同年齢の集団の中で相対的にどれくらいの知能があるかという数値を知能指数としているということです。
知能指数には生活年齢と検査で算出された精神年齢からIQを出す方法もあり、田中ビネー知能検査Ⅴではこちらの算出方法を用いています。
必要に応じて偏差IQも算出されるそうですが、ウェクスラー式の知能検査より数値が高く出る傾向があるそうです。
個人的には相対評価で出された数値の方が、実際に学校生活を送る上で『クラスの他の子とどれくらい差があるか』がわかりやすいように感じます。
知能検査の項目も検査によって異なる
田中ビネー知能検査では精神年齢を算出し、生活年齢と比較するという形の知能検査。
頂いた検査結果も生活年齢を踏まえての精神年齢と知能指数の2項目でした。
ウェクスラー式のWPPSIとWISCは相対評価で知能指数を算出しています。
現在用いられることが多いであろうWPPSIⅢとWISC-IVの検査項目を表にまとめます。
WPPSIⅢ | WISC-IV | |
(2歳6ヶ月~13歳11ヶ月) | (4歳~7歳3ヶ月) | (5歳0ヶ月~16歳11ヶ月) |
・言語理解指標(VCI) ・知覚推理指標(PRI) ・語彙総合得点(GLC) ・全検査IQ(FSIQ)(4項目) | ・言語理解指標(VCI) ・知覚推理指標(PRI) ・語彙総合得点(GLC) ・処理速度指標(PSI) ・全検査IQ(FSIQ)(5項目) | ・言語理解指標(VCI) ・知覚推理指標(PRI) ・ワーキングメモリー指標(WMI) ・処理速度指標(PSI) ・全検査IQ(FSIQ)(5項目) |
ちなみに、うちの子供が受けたのはWPPSIⅢの前のWPPSIで、検査項目は言語性検査(V)、動作性検査(P)2種類のIQと全検査IQの3種類でした。
WPPSIⅢでは項目が詳細に分かれていることで、より細やかに特性が理解できるようになったのではと思います。
新しいWPPSIⅢでは、言語性検査の中でも言語理解と知覚推理、語彙総合得点があり、言語能力が低い場合でもどの分野が苦手なのかが見えやすいですね。
また、WPPSIⅢでは言語能力を細かく見るために語彙力を見る語彙総合得点という項目がありますが、WISC-IVでは語彙総合得点の代わりに動作性能力にも関係するワーキングメモリー指標(短期記憶能力→学校生活で言えば先生から指示された手順などを注意深く聞き記憶し、その通りに取り組むために重要な能力)が追加されています。
個人的には、新しいWPPSIⅢでは4歳から処理速度指標がわかるのはいいなと感じます。
というのは、うちの子の場合は言語性検査の数値は悪くなかったので、WPPSIでは動作性検査の数値が平均より低めということしかわからなかったんですね。
その後、学校生活で困難を感じるようになってから受けたWISC-IVの結果で弱点が処理速度にあるとわかったので、入学前の早い段階でわかっていたらより早く適切な対処をできたのではと思っているためです。
発達障害で困っていることがある場合、精神年齢が生活年齢より若干上回っているからと言ってホッとして終わり、というお母さんは少ないと思います。
わたしの場合も、精神年齢が平均より上に出た田中ビネー知能検査Vより、具体的に細かい項目が出てどこに困っているかを理解する助けになり、相対評価で同学年のお子さんと比べて我が子がどれくらいの知能を有しているかがわかるウェクスラー知能検査の方が参考になりました。
発達障害の検査の時間はどれくらいかかる?
発達障害の検査の時間ってどれくらいかかるか気になりますよね。
参考までに、うちの子が受けた知能検査でかかった時間を書いておきます。
時間にして田中ビネー知能検査V、WPPSIは1時間前後かかりましたね。
WPPSIと田中ビネー知能検査Vの検査時は幼稚園児だったため、わたし(と下の子)も立ち会っています。
WISC-IVの検査は、時間にして2時間近くかかりました。
小学生になってからの検査だったので、WISC-IVは検査の先生と子供とマンツーマンで行っています。
集中力切れもあり、検査の先生が1回トイレ休憩をはさんでくれていました。
すべての検査で結果をA4用紙1枚の報告書にまとめていただけたので、家族と話し合ったり学校に報告するのに便利でした。
また、数値だけではなくどの指標がどのような内容を示しているのかや、検査時の子供の様子なども書かれていて、とても参考になりました。
小学校には就学前にWPPSIの結果をお渡しし、入学後に受けたWISC-IVの検査結果もお渡しすることで学校での子供の対応の参考にしていただいています。
まとめ
発達障害の検査で子供の場合は、知能検査を行われることが多いです。
うちの子の場合は、就学前に田中ビネー知能検査V、WPPSI、小学校入学後にWISC-IVを受けています。
田中ビネー知能検査Vでは、生活年齢と検査で算出された精神年齢を比較することで知能指数を算出しています。
WPPSI、WISCはどちらもウェクスラー式の知能検査。
対象年齢が異なるものの、同学年の集団における検査児童の知能指数を相対的に示す方法で知能指数が算出されます。
WPPSIⅢでは言語理解指標、知覚推理指標、全検査IQに加え、年齢により語彙総合得点を加味することで言語能力をより具体的に判定。
WPPSIⅢ、WISC-IVでは年齢により処理速度指標、ワーキングメモリー指標といった指標が加わり、より細かく本人の特性を知ることができます。
田中ビネー知能検査Vでは生活年齢と精神年齢の比較がされているだけで、実際に子供の困り度を把握するのは難しかったです。
WPPSIも言語性検査と動作性検査の2項目だったので、うちの子の場合はWISC-IVを受けるまで本人が困っているポイントを把握してあげることができませんでした。
田中ビネー知能検査、WPPSI、WISC-IVを子供が受けたときの検査結果を見て思うのが、相対的な評価を得たほうが他の子との比較ができるため、学校生活などでも生かしやすいということ。
検査方法を選べるのであれば、具体的に細かい項目が出て、相対評価で同学年のお子さんと比べて我が子がどれくらいの知能を有しているかがわかるウェクスラー知能検査の方が参考になるのではと思います。
うちの子の場合は特に、WISC-IVで具体的に子供が弱い項目がわかり、子供の苦手や困っていることに寄り添えるようになったと感じています。
お子さんの発達に心配がある方は、知能検査を受けて『具体的にどこが困っているのか』を調べてみるのもいいと思いますよ。
なお、幼児の段階で発達障害であることが分かった場合について別の記事もまとめていますので、あわせて参考にしていただけるとうれしいです。
この記事が少しでも参考になれば幸いです。
お読みいただきましてありがとうございました。